第七議会

画面をみっちり文字で埋める系オタクの感情のたまり場

結成日に寄せて


結成日に寄せて



5月1日が推しグループの結成日ということで、ちょっとつらつら彼らについて書いてみようかななどと思った。彼らとは、今をときめく新生ジャニーズアイドルSixTONESのことである。五年前の今日、6人集まって結成したのだそうだ。


推しだというのになんだか口調が他人行儀なのは、わたしがハマったばかりのドドド新規だからである。SixTONESについて言及する前に少しだけわたしというハイパー・キモ・オタクについて説明すると、わたしは元々二次元のオタクだった。某バレーボール漫画と某遅効性SF漫画が大好きな。加えてPerfumeが好きなオタクだった。いや現在進行形で好きだけど。なんならこないだFuture popツアーのライブ映像観て号泣したけど。それから欅坂46も好きだった。秋元康は大嫌いだけれど、これじゃいやだこんなわたしは嫌だそんなわたしを押し付けて来る大人はもっと嫌いだと泣いて喚いて刃を振るって指を突きつけ絶対に成立しない革命を起こすもろくてきれいな女の子達が好きだった。卒業した推しメンがおとといあたり次々SNSを解禁し処理しきれない多幸感が波のように押し寄せて来て一ヶ月ぶりにともだちと長電話をしてしまったところだ。つまるところわたしは女の子が好きだった。恋愛対象というよりは崇拝対象として。転じて、好きになる芸能人もみんな女性だった。ジャニーズにしても、SMAPは曲が好きだから今も昔もよく聴いているけれど、まったくもって興味はなかった。


そんなわたしがなんでSixTONESにハマってしまったのか、恥ずかしい話だが全く覚えていない。YouTubeに上がっている彼らの動画を見ているうちにずぶずぶと沼に沈んでいったことは確かだが、何故彼らの動画を検索し閲覧する次第となったのか、そこのところが全く思い出せないのだ。怖。


ただ、はじめて彼らを見たときのことはよく覚えている。Perfumeが出るというので録画しておいた音楽番組に出演していたのだ。普段はPerfumeの出番が来るまでひたすら早回しをするのだけれど、「デビュー!次世代のジャニーズ!」とかなんとか銘打たれたコーナーがふと目についた。どうやらあのX JAPANYOSHIKIが作詞作曲を手がけたデビュー曲を歌うらしい。YOSHIKIともあろうお方が作ったのであればまず良い曲であるに違いないので、早回しの指令を出し続けるリモコンを止めて聴くことにした。なになに、Imitation rainとな。


そしてとても驚いた。お前は何様かと思うかもしれないが、ジャニーズもここまで来たか、と、本当にそう思ったのだ。


ジャニーズには興味はなかったとは先述した通りだが、わたしのタチの悪いところは興味はなかったが偏見はモリモリだったところだと思う。ジャニーズアイドルというものは、歌もダンスも中途半端で顔の良い王子様風の男の子達がキラキラ笑顔を振りまきながら投げキッスとかしてるんだろ、みたいなイメージを勝手に持っていて、それを頭から真実だと信じ込んでいたのだ。ジャニーズアイドルのパフォーマンスをまじまじ見たことが無かったというのもある(SMAPはCD買って曲だけ聴いてたし)。だからSixTONESがわたしの初ジャニーズといっても過言では無いんじゃないかなと思う。そんなわけでわたしは非常に衝撃を受けた。まずジャニーズにしては歌がうまい。いや、ほんと、歌がうまい。語彙力どこやったお前。あと顔が良い。こんな顔の良い男たち二次元でしか見たことねえよ。それからスタイルが良い。わたしにはいわゆる長身イケメンの部類に入る兄が居るのだけれど、なんかうちの兄と同じぐらい背の高い人ばっかじゃね?ていうか体の半分足じゃね?その足なんだけどやたら細くね?画面を注視すればするほど「二次元から抜け出て来たのかお前ら?いやそもそもこれは現実なの?オタクが作り上げた妄想と狂信に基づく集団幻覚のたぐいではなく?」というお気持ちが強まって、結局3周ぐらい連続して観てしまった。彼らは圧倒的だった。そして鮮烈だった。絶対的なまでに暴力的に、そして間違いなく、そのときの世界の支配者は彼らだった。小さなテレビの中の狭いフロア。そこがまるで彼らの司る帝国のように見えた。

衝撃の抜け切らないまま後日パソコンでSixTONESについて検索した。そしたら一本のMVが出て来た。あの曲だった。もう深夜だったからイヤホンで聴いた。そして、もう一度あの衝撃を味わった。イヤホンで聞くことによって、その衝撃はより克明になった。ハモリの多さ。ハーモニーの美しさ。タイプの違う声の数々が重なり合って生まれる音楽が、ワンフレーズごとに丁寧に脳に染み込んでいく感覚だった。あと吐息ラップ。何はともあれ吐息ラップですよ。あそこはヤバイだろ。イヤホンで聴いて撃沈したわ何あれ。左右の耳から息を吹きかけられてるみたいな感じがして背中が変に震えたわ。喉から変な声出たもん。MVじたいも、これほどまでに壮大な世界観を持つ楽曲であれば色々とやりようはあるだろうに、あえてセットをしぼったシンプルな舞台を設定していて、それがとても良い方向に作用していた。引き算の果てにたどり着いたのであろう画面には、ただただ曲の良さと彼らの美しさが広がっていた。


さながら革命のようだった。彼らはただ、楽曲の良さと己の歌唱力と、確固たる世界観のみで勝負をしようとしている。そしてそんな彼らが、なによりも美しい存在だった。


そこで怖くなった。これはヤバイと思った。たぶんわたしが大好きなやつだこれ。それは間違いない、ビジュアルも声質も世界観も好みでそもそもこの曲が大好きだ。でもたぶんハマったらもう戻れない。これなしでは生きていけなくなるような予感がする。マジで。ただでさえのめりこみやすいわたしが、こんな明らかにヤバそうな沼に浸かって無事でいられるはずがない。そう考えて、だからわたしは一旦、SixTONESとの関係を切ったのだ。なんかめんどくさい彼女みたいだな。


それからなんだっけ。カウントダウンTVだっただろうか?衝撃の出会いからずいぶん経って世の中が新型コロナで騒がしくなってきたころ、塾帰りの電車の中でトレンドを覗いたら、「Telephone」という文言が結構な数つぶやかれていて、電話がなんじゃいなと思いながら見てみた。そしたらまさかのSixTONESだった。マジか。SixTONES今度は何やったんだ。何やったって、まあ音楽番組に出演して歌を歌ったらしい、ほうほう。とりあえず出てきたツイートに添付されていた動画を再生した。


そのときの心情をスローガンとするなら、もうこれ一択である。


衝撃、ふたたび。


いやもういい意味でなんだこれ、って感じだったのをよく覚えている。電車の中で興奮して仕方がなかった。こいつらは、なんだ。儚く美しくバラードを歌い上げていたあの6人と本当に同一人物か?電子音バキバキのサウンドの中、不敵に笑ったり吠えたり跳んだり、なんだ、野生とも雄ともセクシーともワイルドとも形容しがたい、とんでもない中毒性を伴った空間が小さなスマホの画面の向こうに建築されていた。あのときの感覚は忘れられない。電車の中でつり革にも掴まらず、スマホを凝視して棒立ちしていた。そしてまた懲りずに思った。これがジャニーズか、と。


たぶんその次の日に、ひたすらSixTONESで検索かけて動画を漁ったのだと思う。たぶん。前述した通り覚えてないので、断片的な記憶をつなぎあわせて導きでたきっかけがこんな感じである。ちなみに言えば、この時散々味わったかに思われたその衝撃は、この後怒涛の勢いでわたしに訪れた。しかも二倍三倍にも増幅して。こいつらのギャップで水力発電できるとわたしは確信した。だってAmazing!!!!!!でひたすら色気を振りまいていた松村北斗は普段はしば犬わんこだし、Imitation rainで形容しがたい儚さをまとっていた髙地優吾は縄持つとSだし(縄持つとSってなに?)(深く突っ込むな)、Telephoneであまりにもセクシーすぎる腰振りを披露してみせた田中樹は頼れる仕切り屋…と思いきや鹿に怯えて最年少にすがりつくし、キレッキレのダンス番長森本慎太郎はギャグマシーンだし、安定したやわらかみのある高音で会場を包み込むジェシーはAHAHAだし、表現と歌唱にすべてを注ぎ込む京本大我は世間知らずのお坊ちゃんときた(もちろん全員それだけではないけれど)。6人揃えば場はカオス、個人個人でもクセが強く、ほんとにここには成人男性しかおらんのか?男子高校生の間違いじゃないのか?と錯覚するほどのわちゃわちゃっぷりを発揮する。それでいて、6人みんなメンバーのことが大好きで、このグループのことが大好きで、お互いへの信頼と尊敬とにあふれている。なんて素敵な関係性なんだろうと思った。そのうちに、グループ結成前に彼ら6人でドラマをやっていたことを知った。いったんばらばらになって、その後もう一度6人でやりたいと願ってグループを組んだことも。いやもうどこの少年漫画ですか??本当に二次元から抜け出てきたんか?あれやっぱり集団幻覚?……いや頰痛いわ現実だわ。芸能界という競争のはげしい世界の中で、一度集まった仲間ともう一度結集することができたのはまさに奇跡だと思う。そして彼らはその奇跡を日常にするために、これまで頑張ってきたのだろうな。


原石。彼らは、自分たちはまだ原石だと歌う。ファンはもうあんたら宝石と言う。宝石は光をあてる角度によってきらめき方が変わるけれど、彼らもまさにそういう存在だと思う。儚く叙情的、あるいは野生的でパワフル、もしくは妖艶で耽美的、それでいて奔放で、ひたすらに明るい。多くの顔を持つ彼らがこの先どのような歌をどのように歌っていくのか、どんな一面を開拓していくのか、わたしはとてもたのしみだし、彼らなら必ずもっと素晴らしいものを見せてくれるだろうと思う。彼らは革命家で、開拓者で、そして国王だ。絶対的にわたしたちを導き、暴力的なまでに圧倒的に君臨する最高で最強の6人だ。彼らに出会えたことは間違い無くわたしの人生において最も価値のある出来事のひとつだし、彼らが彼らとしてこの世に存在していることに言語化できないほどおおきな喜びを感じている。そして、SixTONESに出会わせてくれたSixTONESのファンの方々に心の底から感謝したい。あのたくさんのツイートがなければわたしはこんなにも彼らを好きにはならなかった。トレンド欄に燦然と輝いていたTelephoneの文字、あれがわたしの本当の意味でのSixTONESへの入口だった。わたしをこんなにも素敵な6人と出会わせてくれて、本当にありがとうございます。


ずいぶん長くなってしまった。新参者がつらつらと知ったような口をきくのは堪え難いことだと思うのでこの辺で締めたいと思う。


最後にSixTONESの6人へ。今まで、この5年間、色んなことがあって、沢山の思いを味わって、デビューに関しても一悶着あって、それでもSixTONESでいることを選んでくれてありがとう。わたしはあなた方に出会えて本当に本当に毎日しあわせです。どうか、あなた方の未来に幸あれ。光あれ。この世の全ての喜びが、SixTONESの為に在りますように。